高額療養費制度とは? ~保険初心者さんでも分かる・簡単解説!~

2023年3月14日

こんにちは、郡山です!

今回は公的医療保険の制度の一つ『高額療養費制度』について詳しく掘り下げてご案内したいと思います。

「まずもって公的医療保険ってなに?」と思われた方は、以下ブログを先にチェックしてみてください!
【公的医療保険とは?~保険初心者さんのための保険基礎~】

まずもって高額療養費制度とは何か?

突然、高額療養費制度と言われてもまずソレがわからん!
という方もいらっしゃると思いますので簡単に説明すると、高額医療費制度とは「一ヶ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合、高額医療費として給付される仕組み」のことを言います。

つまり一ヶ月間でたくさん医療費を支払うと限度額を超えて支払った分は戻ってくる」ということですね。

公的医療保険に加入してることで受けることができる恩恵の一つで、日本国民は全員が公的医療保険に加入していますので、この制度は日本国民全員が対象になります。

ただし「自己負担限度額」は年齢や所得によって変わってきます!
まずはその限度額の算出方法などについて見ていきましょう。

自己負担限度額について

自己負担限度額はひと月の金額です。
そしてそれは年齢や所得に応じて定められており、以下の表の通りとなっております。
表はまず年齢69歳以下もしくは70歳以上かで2つに分かれます。

■69歳以下の方の場合

適用区分ひと月の上限額(世帯ごと)
年収約1,160万円~252,600円+(医療費全額ー842,000円)×1%
年収約770万円~約1,160万円167,400円+(医療費全額ー558,000円)×1%
年収約370万円~約770万円 80,100円+(医療費全額ー267,000円)×1%
~年収約370万円 57,600円
住民税非課税者35,400円

■70歳以上の方の場合

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと) 外来(個人ごと)
現役並み年収約1,160万円~252,600円+(医療費全額ー842,000円)×1% 252,600円+(医療費全額ー842,000円)×1%
現役並み年収約770万円~約1,160万円167,400円+(医療費全額ー558,000円)×1% 167,400円+(医療費全額ー558,000円)×1%
現役並み年収約370万円~約770万円80,100円+(医療費全額ー267,000円)×1% 80,100円+(医療費全額ー267,000円)×1%
一般年収156万円~約370万円57,600円18,000円(年144,000円)
住民税非課税等Ⅱ住民税非課税世帯(Ⅰ以外の方)24,600円8,000円
住民税非課税等Ⅰ住民税非課税世帯(年収80万円以下など)15,000円8,000円


「表を見ても何がなんだか分からない・・・」という方多いのではないかと思いますので、1つ例として以下のパターンをご覧ください。

例)
年齢35歳・年収500万円のサラリーマン男性。
1ヶ月で医療費総額100万円の医療を受け、自己負担は3割のため30万円。

この場合、上記表の「69歳未満の方」の「年収約370万円~約770万円= 80,100円+(医療費全額ー267,000円)×1%」を適用しますので以下の数式になります。
80,100円+(1,000,000円ー267,000円)×1%=87,430円
自己負担限度額=87,430円
300,000円(自己負担した金額)ー87,430円=212,570円
結果:212,570円が高額医療費として支給されることになります!

というわけで、まずはご自身が上記の表のどこに当てはまるのかをご確認いただき、一ヶ月の医療費総額がいくらかを確認できるようにしておけると良いでしょう。


さらに「いったい一ヶ月でいくらになったら高額医療費制度が使えるの?」と思われる方のために、以下の表をご参照ください!

■69歳以下の方の場合

適用区分ひと月の上限額(世帯ごと)高額医療対象となる
医療費総額
年収約1,160万円~252,600円+(医療費全額ー842,000円)×1%約842,100円以上
年収約770万円~約1,160万円167,400円+(医療費全額ー558,000円)×1% 約558,100円以上
年収約370万円~約770万円 80,100円+(医療費全額ー267,000円)×1% 約267,100円以上
~年収約370万円 57,600円約192,003円以上
住民税非課税者35,400円約118,003円以上

以上の通り、公的医療保険で医療費総額の1~3割しか負担しなくてもよいとは言え、総額が高額になった場合の救済処置まで整っているのが、日本の公的医療保険なんです!

さらにさらに、実はより負担を軽減できるしくみが高額療養費制度にはあるんです。

世帯合算・同一人合算とは?

高額療養費制度には、同じ世帯であれば複数の医療費でも合算して請求することができる『世帯合算』というしくみや、同一人物が同じ月に複数の医療費を支払った場合それらを合算できる『同一人合算』というしくみがあります。

この世帯合算・同一人合算のしくみが適用されるのにはまず2つの条件があります。

①同じ世帯であること。この場合の世帯とは住民票上の世帯ではなく、同じ医療保険に加入している家族という意味です
②健康保険加入の場合の同じ世帯とは「被保険者と被扶養者」のことを言い、共働きでそれぞれが被保険者の場合は同じ世帯とみなされません
③70歳未満の方は、それぞれの自己負担額が21,000円を超えている場合のみ合算されます

具体的な例でいうと以下のケースは世帯合算が適用できます。
例1) 国民健康保険に加入する55歳父・50歳母が同月内に支払った医療費
21,000円以上の医療費は合算ができる
例2) 75歳男性、同じ月に複数の医療機関で支払いした医療費
21,000円未満の医療費でも合算ができる
例3) 35歳男性、同じ月に同じ医療機関で入院と外来で支払いした医療費
21,000円以上の医療費は合算ができる


多数回該当とは?

さらに高額療養費制度には負担軽減のしくみとして『多数回該当』というものがあります。
どういうしくみかというと「過去12ヶ月以内に3回以上上限額に達した場合、4回目から多数回に該当し上限額が下がる」という内容です。
以下が多数回該当となった場合の4回目以降の上限額です。
まず年齢によって分かれますので表が2つになります。

■70歳以上の方の場合

適用区分本来の負担の上限額多数回該当の上限額
年収約1,160万円~252,600円+(医療費全額ー842,000円)×1%140,100円
年収約770万円~約1,160万円167,400円+(医療費全額ー558,000円)×1%93,000円
年収約370万円~約770万円80,100円+(医療費全額ー267,000円)×1%44,400円
年収156万円~約370万円57,600円44,400円

■69歳以下の方の場合

適用区分 本来の負担の上限額 多数回該当の上限額
年収約1,160万円~252,600円+(医療費全額ー842,000円)×1%140,100円
年収約770万円~約1,160万円167,400円+(医療費全額ー558,000円)×1% 93,000円
年収約370万円~約770万円 80,100円+(医療費全額ー267,000円)×1% 44,400円
~年収約370万円 57,600円44,400円
住民税非課税者35,400円24,600円


高額療養費の受け取り方

高額療養費制度を利用する方法は2つあります。
①医療費の支払い後に払い戻しを受け取る
いったん医療を受けた窓口で自己負担分の支払いを済ませ、後日保険組合等に申請して払い戻しを受ける方法です。

②事前に申請して医療費の支払いを抑える
事前に保険組合等へ「限度額適用認定証」を申請します。その後保険組合等から「限度額適用認定証」が交付されますので、こちらを医療機関に提示することで自己負担限度額までの支払いとなります。
この方法は自己負担限度額を超えるかどうか分からない場合でも申請できますので、高額な医療費が予想される場合にも活用できる方法です。

高額療養費制度の対象外

ここまで高額療養費制度について説明してきましたが、実は高額療養費の対象外となる医療費もあります。
・美容整形やレーシックなどの治療費
・先進医療などの公的医療保険適用外の治療費
・入院時の差額ベッド代や食事代
・通院や入院時の交通費

最後に

以上が高額療養費制度の詳しい内容となります。

あくまでこの制度は公的医療保険の1つの仕組みです。
まずは公的医療保険がいったいどういう仕組みを持っているのか。それをご理解いただいた上でその仕組みの1つである高額療養費制度をご理解いただくのが良いかと思います!

改めてですが「まずもって公的医療保険ってなに?」と思われる方は、以下のブログをチェックしてみてください。
【公的医療保険とは?~保険初心者さんのための保険基礎~】


それでは郡山でした。


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